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イタリアは男尊女卑の国

イタリアで働く友人の邦人女性がSNS上で
「取引先の相手に体を触られるのが嫌だな。まあ仕事はできる人だからしょうがないか。」
と書いていて、それに対して同じくイタリアで働く邦人女性たちが揃って
「イタリアあるあるだね」
と答えていて驚いた。
友人は賢く、自己主張もはっきり出来そうな人だ。

幸いイタリアで私はそんな目に遭っていない。しかし、日本では、あった。
日本でもあるあるだ。

更に彼女から、
「アユーシャさんは、こういう男性を許す派?許さない派?」
と聞かれて、目が点になった。

私にとってセクハラは許す、許さないの問題ではない。
人種差別を許す派?許さない派?
飲酒運転を許す派?許さない派?
なんて質問自体があり得ないのと同じだ。

体を触られることもだし、そんな風に「適当に扱ってもいい対象に自分がなる」ことに傷付く、
いやちゃんと傷付きたいと思う。

しかし許さないことで相手の機嫌を損ねて雇い止めに遭ったり、給料が未払いになったりする場合、家族の生活を考えて受け入れてしまう状況は考えられる。
当時日本で私は新人で、一回り上の先輩から評価を受ける立場だったので、正しいことを言う勇気がなかった。

イタリアは女性が大事にされていると聞くけれど、こんな話を聞くと全く酷い男尊女卑の国だと思う。
テレビではいつも裸同然の美しい女性が番組の内容に関係なく体をくねらせている。
百歩譲ってセクシーであることは彼女たちの仕事であるが、通訳や営業販売の仕事でセクシーさを無料で提供するのは頼む勘弁してくれ。

尊敬する友人Aから、
「文庫をするなら読み手を女性に限定しないようにね。次世代の子供たちに、本を読んでくれるのはお母さん。子育ては女性の仕事、というメッセージを伝えないようにね。」
と助言された。

今、文庫に実習生として日本語学科のイタリア人学生に二人入ってもらっている。敢えて男子学生と女子学生に頼んだ。男子学生は、文庫にいつも美味しい手製のケーキを持ってきてくれる。

イタリアはまだまだ男尊女卑の国だけど、まずは身近なところから、一歩ずつ。
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by ayusham | 2016-11-26 07:59 | 考える | Comments(0)

アイスバケツはかぶらないけれど

今年も日本へ帰国した時に娘を出産した病院で婦人科検診を受けてきた。
イタリアに戻ってすぐ母から「検診結果が届いたので開封したところ、子宮頸がん要精密検査でした。心配なのですぐ病院に行くように!」と電話がきた。

ひええ。電話を切った直後から、いろいろなことを考えた。

私が旅立った後、まずは残される子ども達のこと。
彼らが希望するだけの高等教育を受けられるよう遺言に残さなくては。息子は今ピアノに夢中になっているのでその情熱を保てるようサポートして欲しい。あ!その前に、彼はまだ立って用が足せないんだった。
夫は仕事と子育てとの両立で、悲しみに暮れる暇はないかもしれないが、逆にその方がいいかもしれない...新しい奥さんの為に結婚式アルバムでボツにした式の写真は全部処分しよう。いや、夫はイケメンでも資産家でもないから新しい奥さんは来ないかも。じゃあ今のうちにしっかり和食の基本を叩き込んで一生食事に困らないようにしてあげなきゃ。

待てよ、旅立つまでの治療方針も考えなくてはと思い直した。検診センターに自分の検診結果を問い合わせた所、「細胞の軽度異形成」とのことだった。暑さでタブレットカバーが伸びたように、私の細胞も日本の夏バテで伸びたか。

どういうこと?異形成って何?
よく分からなかったのでネットで自分なりに調べてみて分かったことは、

・子宮頸がん0期に入るまでには細胞の軽度・中度・高度異形成という数年を
 かけての段階がある
・軽度〜中度異形成の間は自己免疫力での可逆があり、軽度の90%は正常に、
 中度の90%は軽度に回復する
・定期的に婦人科検診を受けていれば上記の経過観察ができ(←ココが大事!)
 がんに入る前の高度異形成で対応できる

ということだった。
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                   LSIメディエンスさんから画像を借りています

毎年婦人科検診を受けていながら、私は子宮頸がんを発症するまでにどんな段階が存在するのか、それぞれの段階でできる最善のことはどんなことなのかを全く知らないでいた。
幸い軽度異形成の90%は自己免疫力で自然治癒するらしい。
でもこれらのことを知ったからには伝えなければと、大切な友人にメールを書いた。
一年に一度必ず婦人科検診に行くこと。

アイスバケツはかぶらないけれど、誰かにリレーのバトンが届くようにここにも記事にしておきます。
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by ayusham | 2014-08-30 05:35 | 考える | Comments(4)

なくしたくないものは

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あの日、地震の知らせはホテルフォンターナのお婆ちゃま→夫経由で私に入ってきた。PCをつけたらちょうど父の実家のある亘理一帯が大津波に掻き回されているところだった。仙台空港もめちゃめちゃになっていた。

姉から無事ですとiphonメールがきた時、どれだけほっとしただろう。
でもすぐ、不穏なニュースが入ってきた。
友人から電話がたくさん来ても私はどこか壊れてしまって、不謹慎にもはしゃいでいるみたいだった。何か強烈な注射を打ってバタッと倒れてしまいたかった。
3月16日未明、宮城の母の実家へ家族が避難するまで、上がってゆく名簿をスクロールしながら、沿岸部の道路情報を探しながら、88通のメールのやり取りは奇妙に明るい。

かわいいおばあちゃん
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ちょっとしっぱいおばちゃん
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「原発の状況が思わしくない。避難します。家に残していきたくない、なくしたくないもの教えて。」
「なくしたくないものは、家族です。他に何もいらないよ。」

私は特定の宗教は信仰してないけど、神様はいると思っている。
あの時神様が姉を通して私に聞いてきたのだと思う。
母は娘が日本で使うランドセルを持って避難してくれた。
一番大事なものがそれって...


明日はカフォスカリ大学の支援イベントで習字コーナーにいる予定です。
たくさんの人が来ますように。
たくさんの人と話したい。
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by ayusham | 2012-03-11 06:40 | 考える | Comments(6)

転びました

わたしちょっと肋骨を痛めています。くしゃみをするのが怖い・・・

というのは先日、子ども達と公園に行った時のこと。私は下の息子を見ていたのですが、遠くで遊んでいた娘が口をとがらせてやって来て、
「知らない男の子達がgiu' le braghe!(直訳ではズボン下ろせ!ですが、からかい言葉です)って言ってくる。smettila!(やめてよ!)って言い返してもやめないよ。」
と言うのでその時は、何だろうねーくらいの気持ちで様子を見に行きました。

すると娘より年上の少年達が「cinesina(中国人ちゃん!)」と呼んではささっと隠れる。多分母親の私(アジア人)を見てのからかいなのでしょう。子ども同士のことではあるけれど、あまりにしつこい。また、<小さい女の子をからかう。それも一対多。>ってーー??普段眠っている私の中の胆汁質が目を覚ましました(-_-;
リーダー格の少年を見定め、ゆっくり息を吐いてから、チーターアユーシャは走った!私はすごく速いのです。
と思ったら、数メートル駆けたところでマンガみたいに転びました(涙)左半身を強打!
でもすぐ立ち上がって、追いかけ追いかけ少年をベンチに座るよう誘導しました。

少年は最初、
「俺は何もしてないよ!」「言わないと友達にキックされるからだよ!」
と言っていたのですが、私たちを見ていた娘のクラスメイトの両親が何事かと駆けつけてくれ事情を聞くと、
「僕は君の両親を昔から知っている。素晴らしい人達だから、残念だな。」
と少年に言いました。私も
「私はあなたを怒ろうと思わない。もしかしたらまた別の子が同じことをするかもしれないものね。だから知りたいの。何もしていない見知らぬ子をからかう理由は何なのかと。」
と言いました。
「別にいじめたかった訳じゃないんだ。ただ外国人を見たらチネーゼって言うもんだと思った。だって他にどう言えばいいか分からないから。」
「君が外国に行ってやーい外国人、って言われたらあまりいい気持ちではないよね。声をかけるなら他の言い方がきっとあるよね。」
そんなやりとりをしているうちに他の子も「ごめんなさい。」とぞろぞろ出てきました。どうしていいか分からなくて困っている、なんだか可哀想な子ども達でした。10才ってこんなに可愛いかったかな?
「誰でも間違いはあるよ。でも誰かが同じ目に合っていたら今度はやめろよ!って言ってあげてね、約束してくれる。」
少年のお婆さんも、
「シニョーラ、孫のやったことをお詫びさせてください。恥ずべき行為です。」
と言ってくれました。後日分かったことですが、少年の両親はcatechista(カソリック宣教師)だとか、、私は
「いいえ、うちの子ども達だって明日反対の立場になっているかもしれませんからお互い様です。」
と言ったのですがーー

娘がまさに次の日、街ですれ違った人を
「あのおじさん、大人なのに私みたいにちびっこだね!」
と笑ったのでした。(-_-;私がそのことを注意しても、一瞬どうして?と不思議そうな顔をした娘、そしてすぐには消化できずにしばらく泣きました。子どもって周りと違うものに対してそういう態度を取るのかと考えさせられました。

今日は長くなったのでここまでにして、もう少し考えてみます。肋骨がイタイ・・・
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by ayusham | 2010-04-26 06:34 | 考える | Comments(15)

半日入院、そして

先週末の連休のこと。「おはよー」と起きてきた息子の顔にポツポツと湿疹が少し。全身をチェックしてみると下半身に世界地図のような赤い染みが広がっている。

すぐ食物アレルギーだと分かった。前の晩ノンナの家で私たちがニョッキ(じゃがいものパスタ)をこねている間、息子がパルメザンチーズを削っていた。(チーズの塊を削り器に入れてハンドルを回すと削れたものが下から出てくる。イタリアの家庭には必ずある)イタリア人家族にたくさん褒められて得意になってハンドルをぐるぐる回し、結構な量を食べていた気がする!

船に乗って救急へ。すぐに小児科病棟へ運ばれ応急手当てを受ける。幸い湿疹が出ているというだけで、普段どおり機嫌はよい。娘と仲良く小児科のプレイルームで過ごす。元気があっても湿疹が完全に消えるまで病院から出ることは出来ないという。昼食を病院内のバールで取る。夫が仕事場から駆けつけたが、息子の食欲をみて安心する。

午後、湿疹は薄くなったものの完全に消えない。いつものように息子は昼寝、病室(個室)で休ませる。その間、1時間に1回の診察があるだけ。静かな小児科病棟。娘はプレイルームへパズルをしに行く。

慌てて家を飛び出してきたので、何も持たずに来たことに気付く。テレビをつける気分ではないし・・・私も隣のベッドに横になってみる。静かに息子の寝顔を見つめる。

子育て環境には恵まれていると思う。
夫は普段から子ども達をよくみてくれる。外へ遊びに連れて行き、家事も積極的にしてくれる。元気な祖父母が近くにいて、信頼できる園の親同士で気軽に子どもを預け合う。それでも、私にとって一人で過ごす時間はまだまだとても貴重なのだ。時間いっぱいを有効に使うこと、家事に仕事に趣味、たくさんの余計なことで忙しくしてしまう。
こんな風に病院に軟禁されて初めて、何もしない。ただ息子を見つめる。ということができるんだな。


先日、お友達の家にヒプノセラピストがいらしていて、以前からヒプノに興味があった私もセラピーを受けることができた。(私が受けたのは正確に言うとヒプノではないけど)

髪の長い女性に手を引かれて、深いところへ行く。ずーっとずーっと昔の自分がいた。顔は見えないけど、赤ん坊の男の子が笑っている、その子が息子だということが直感で分かる。お尻まるだしで私から逃げていく。幼い子どもは信頼関係があるからこそ保育者から安心して離れることが出来るのだろう。
私達はとてもよい関係で満たされていた。ただ一つ私は彼と母子関係でないことを残念に思っていた。

セラピーを受けて、息子は私を100%信頼してこの世に生まれてきたんだなと気付いた。いや、気付いたというのも違う、ずーっと前から知っていたことを思い出しただけ。求めていた答えは天から降って来るのではなかった。今まで自分を取り巻いていたあんなことやそんなことが、小さく小さく思えた。

息子から湿疹が完全に消えた。しばらくパルメザンチーズは厳禁。
もう病院はこりごりだけど、私にとって息子の半日の入院とセラピーの効果は大きかった。
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by ayusham | 2009-06-06 07:09 | 考える