<   2017年 01月 ( 7 )   > この月の画像一覧

メソポタミアへの旅

息子が学校でメソポタミア文明を習い終えたところ、ちょうど近所で企画展が始まり、子供向けのツアーもあったので、家族で足を運んできた。
f0215198_02101010.jpg

楔形文字は葦を切ったもので書かれていたことは知っていたが、いまいちピンと来ていなかった。百聞は一見に如かずだ。
お月見で供えるススキのような柔らかいものではなくて、葦は直径2-3センチの、建築材にも使われたような丈夫なものを使う。

三角と半円に削った両端と、持ち手の三辺を使って、粘土板に押し当てていく。
沖積平野のメソポタミアには、粘土板の材料である泥土だけはそこらじゅうにあったのだろう。
f0215198_05213224.jpg

くるくる判子(円筒印章)のコーナーが面白かった!
f0215198_02115342.jpg

くるくる判子はシュメル時代初期には封印に、後代では契約に使われた。判子には所有者の名前や肩書と共に、ユニークな図柄が彫られた。図柄や素材に厄除開運の意味を込めていた辺りが、日本の実印の扱い方と通じる気がする。
そしてこの図柄、時代ごとに王様、セックス、闘争、神話、饗宴など流行があった。

饗宴をモチーフにしたラピスラズリの判子には、大きな甕にストローを刺してビールを飲む人々が彫られていた。
「楽しくなること、それはビール。嫌になること、それは軍事遠征。」(シュメル人の諺)
ギルガメシュ物語のエンキドゥもビールを飲むことで人間らしくなり、文明人としても認められたのを思い出した。
シュメル人には五千年後の現在のイラク、見せられないな。。。

ツアーの後の、ラボラトリオ。粘土でアクセサリーを作る。
f0215198_02104490.jpg

シュメル人は男性も装飾を身に付けたそうだ。
f0215198_02110598.jpg

この企画展、春までやってるので、また行くつもり。
[PR]
by ayusham | 2017-01-30 02:09 | 日々のこと | Comments(0)

ヴェネツィアを守る

高校時代バイトしてた地元図書館の館長は、「図書館が静かな場所であってはならない」と「静かに!」の注意書きを全部はがしてしまう人だった。
だから私も来館した小学生と自由研究の本を一緒に探してお喋りしたり、定期的に来る子育てサークルの読み聞かせにお客さんとして参加してげらげら笑ったりした。
楽しい図書館だった。

ここヴェツィアにも同じように静かにする必要のない子供図書館があって、国は違っても同じ場所があることにびっくりした。一言も「静かに!」と言われることなく、小さな息子をカーペットに転がしながら本を選んだ。日本の絵本でヴェネツィアの子供達に文庫もしたし、「ヴェネツィアは昔から異文化の交差する街だから」と司書のジョヴァンナさんには日本語図書まで購入して頂いた。

その子供図書館が今、本土移転の危機に瀕している。
昨年末、開館時間が月~木曜日までは午前中のみ、金土日は終日閉館と変更されたのを知った時、既に嫌な予感はしていた。子供図書館なのに放課後いつも閉まっている。

近年ヴェネツィアはベネトングループに買収された旧ドイツ商館(旧中央郵便局)がショッピングモールになったり、お洒落なカフェが次々オープンしたりしているけど、残念ながらそれらは市民の為の場所ではない。

市内で働くことで、職場と生活圏が重なることを心配したが、それも杞憂だった。
イタリアの普通の大学生は、ヴェネツィアで自由に遊ぶお金なんてないのだ。スーパーで買い物さえしない。ヴェネツィアの家賃は軽く一月分の給料を超えるから、学生数人で本土のアパートをシェアする。学生はアパートから持ってきたパスタ弁当を校舎の階段でつつましく食べる。

...誰の為の街なんだーーー!

このまま黙っていることもできないので、みんなで図書館移転反対の署名活動をすることにした。
今まで市内で図書活動をする人達と話したことがなかった。
ヴェネツィアを守る。もうuna foresta(外人)ではなくヴェネツィア市民として。
[PR]
by ayusham | 2017-01-28 06:48 | 日々のこと | Comments(0)

韓美林全球巡展

友人たちには「絶対観に行くべき!」と勧められ、場所も大学本部にありながらバタバタと通り過ぎていた韓美林世界巡回展にやっと、行ってきた。
f0215198_02181884.jpg

韓美林の名前は知らなかったけど、北京オリンピックや中国国際航空のロゴなどのデザインで既に私達に親しみがあった人だった。

アジアの芸術家だから、今度は私がいろいろ調べてアンに説明しようと思って調べて行ったけど、この巡回展を主催したのが彼女のオフィスであることを忘れていた。だから
f0215198_02184770.jpg

私がアンに伝えられたことは、韓美林の全ての作品に書の美しさがあること。
古代文字の中で、漢字だけが衰えずに脈々と生き続けていること。
f0215198_02191546.jpg

スタッフから「お土産に好きなコピーとぬいぐるみをどうぞ」と言われたので、干支の絵と子供達は幸運の虎をそれぞれほくほくと選ぶ。
f0215198_04043792.jpg

猫に狙われないところに置かなくては。
f0215198_02312618.jpg

[PR]
by ayusham | 2017-01-21 02:14 | 日々のこと | Comments(0)

長靴を袋に詰めて


f0215198_16594541.jpg

f0215198_17031742.jpg

長靴を袋に詰めて家を出る潮位九十五センチなれば



[PR]
by ayusham | 2017-01-13 16:56 | 日々のこと | Comments(2)

何事も起こらない人生

今年のべファーナ魔女は事前の打ち合わせ通り、色とりどりの甘いキャンディーではなく、靴下の中にぎっしりとナッツや果物を詰めて置いて行ってくれた。外の気温はマイナスが続いているけれど、魔女のお陰で我が家は風邪知らずだ。

最近、娘が人生を嘆いている。
「外見もパッとしないし、毎日家と学校の往復だけだし、特別なことも何も起こらないし、私の人生って平凡すぎる」そうである。
娘はニキビを吹き出しているけれど中学時代の私よりずっと可愛いし(と私は思っているけれど彼女からすると髪と目の色が不満で変えたいらしい)、努力できる環境にあるし(彼女からするといちいち親の期待を感じて自分の本当の気持ちが分からなくなるらしい)、両親は尊重しあっているし(彼女からすると「二人は何についても喧嘩ばっかしてる」のだそうだ)、こんな歴史ある美しい街に住めて(これは彼女も同意!)、もう十分すぎる程恵まれてると思うんだけどなあ。

今週日本では成人式があって、つくば市や那覇市で新成人が大暴れした。彼らに何が足りなかったのか?とも考えられるし、何かが足り過ぎていたのか?とも考えられる。
対照的に東日本大震災の被災地、南三陸町が「荒れない」成人式として取り上げられていた。二十歳の青年の式辞を、べファーナがくれたみかんの皮を剥きながら聞いた。

最近、私の周りでカップルが別居したり、元気そうな友人に大きな病気が分かったりして、私もショックを受けた。勿論、別居は友人たちにとってポジティブな解決策で、病気は早期発見と現代医療で治ることを信じている。被災した街は復興する。

ただ、何事も起こらないこと、普通を継続させていくことって文字通り「有難い」ことなんだなと思う。そんなことをしみじみ夫と話す。
娘に言っても、また何かつまらないことを言っているぐらいにしか思われないだろうけど。

神様は時々誰かの言葉に入りこんで大事なメッセージを運んでくる。
ある日、親友が仕事帰りに。
ある日、広州に住むメル友が深夜のチャットで。
今回のメッセージは娘に言ってるようで、私が私に言っているんだ。
[PR]
by ayusham | 2017-01-12 06:32 | 日々のこと | Comments(0)

ジニのパズル

正月にAmazonのUnlimited(読み放題プラン)を解約した。読み放題は魅力だったけれど、読んでも読んでも心が満たされず私は栄養不足に陥ってしまった。ファストフードを食べ続けたり、好きでもない恋人をとっかえひっかえしたりするような、自分を消耗させる読書もあるのね...

年も改まって、本好きの友人が2016年に読んだ本のベストとしてあげた「ジニのパズル」を読む。

f0215198_19325454.jpg


筆者は1985年生まれの在日韓国人。
(日本では2016年5月にヘイトスピーチ法が成立したこと、同年7月にジニのパズルが発行されたことを心に留めておきたい)

芥川賞候補作である。
あまり推敲されていない、構成も特別に練られていないところが、賞を逃した理由かもしれないが、読者には受賞の有無など関係ない。その勢いこそがこの本の魅力でもあった。
数日かけて大事に読もうと思っていたが、作品の勢いにぐいぐいと引きずられて一晩で読んでしまった。


舞台はオハイオ州の高校、東京の朝鮮学校。合間に北朝鮮に帰国した祖父や家族からの手紙、ホームステイ先の絵本作家ステファニーのエピソードなどが挟まれる。
発達障害のジョン、聾唖のマギー、日本育ち北朝鮮国籍のジニ、とマイノリティの登場人物のパズルピースで少しずつジニのパズルは埋められていく。

ジニはでこぼこした扱いにくい性格であることを自覚している。
朝鮮学校では朝鮮語を一切覚えようとせず、テスト答案を全て「金正日、金日成」と書いて埋めてしまうなど、周囲からの反感をかうことは容易に想像できる。
それでも、いじめを途中で放棄してジニを放っておくユンミ、新しい生活になじめるよう親身になってくれるニナ、上級生のリンチを身を挺してかばってくれる男子クラスメイトのジェファン、朝鮮語の分からないジニの為に日本語で授業を進めてくれる教員達、勉強しないジニの退学を延ばすオハイオ州の校長など、この本はジニの壮絶ないじめ物語ではない。

このぐらいのマイノリティさだったら、私も外国人であり、日常的に生活の中での言葉や待遇の不自由さを経験している。冒頭のジニのように、ヘッドフォンをして雑音を入れず好きな音楽を聞いてやり過ごすことは、そう、きっと誰だってしているのだ。

しかし、ジニがある日、朝鮮学校で革命を起こすことで物語は展開していく。
きっかけは、毎日教室で眺めていた金一家の肖像画である。

自分の傷を言い訳に、よりよって最も大切な人たちを、傷付け、騙し、欺き、追いやり、日の当たらぬ闇の底へー自ら這いつくばって抜け出すしかない奥底まで突き落とした人間。それが私だ。

革命後、ジニは「社会のゴミ」となり、「隔離された、この世界からはすっぽり隠された空間」で、「宇宙のゴミ」である星と会話する。

「星は言った。もう会えないよって。だけど私を落ち着かせるようにして星は続けてこう言ったんだ。明日にはまた別の星が輝いているから大丈夫よ、って。わざわざ私が輝かなくても、別の星は必ず輝いているから、だから大丈夫なんだ、って」


ジニと一緒にパズルピースを埋めていくのが辛くもあったが、この本は想像していた社会派小説でなく、力強い青春小説だった。落ちてくる空を受け止めて、私達は時に輝いたり、ゴミになったりしながら、そしてまた輝く。言い訳を作って、輝くことから逃げるのはやめようと思った。
[PR]
by ayusham | 2017-01-06 18:16 | 本・シネマ | Comments(0)

2017年抱負

明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。

キキ3歳になりました。

f0215198_19351167.jpg


休み時間にに駅前のトイレに行ったら教室に戻れなくなる、という初夢を見ました。
舞台は何故か日本の山間の村でしたが、心のどこかで焦っているのかな?
それがおまえの深層心理だ!と言われれば、何でも当てはまる気はする。



2017年抱負を記します。年末に振り返った時に、自分に頑張ったで賞をあげられますように。

美味しいものを沢山食べたい+作りたい。
友達が簡単に作れるよ、と言っていたヴェネツィア料理をどしどし作ってゆきたい。
今朝早速ティラミス用のマスカルポーネとサヴォイアルディを買ってきた。
上手に作れたら、新年会でも披露するつもり。

美しいものに沢山触れたい。
先日ペーサロ宮では、アンが一番私に見せたかったという印象派の画家ホアキン・ソローリャの作品は外にお出かけしていて見られなかったのだ。
市内にある11の市立美術館へも足を運ぼうと思う。

ブログ名八年前の自分とは違っているから少し付け足す
[PR]
by ayusham | 2017-01-02 19:49 | 日々のこと | Comments(0)