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北大短歌第五号/山田航

文フリに行って北大短歌第五号をゲットして来ました。

ページをぱらぱらとめくると、どうしても最初に目に留まる山田航さんの連作12首から、気になる歌をいくつか。

夕暮れの南5西2 生ゴミのボヤが鎮まるゲリラ豪雨で

私は地名が入っている歌が好きで、自分でもよく読む。札幌の人は何条の東西いくつ、で大体その辺りの雰囲気が分かってしまうんだろうな。南5西2でキスをする、ではなくて生ゴミのボヤが鎮まるところに生活感を感じる。

早苗田に立つ鉄塔を何本も見送りちょっと遠くに行こう

電車だろうか、ドライブだろうか、作者も季節も動的な感じ。

なあそんなとこにタトゥーを入れんなよ太って間延びすんだろどうせ

完璧な二人になんてなれないや死ななきゃだいたいハッピーエンド

晴れどきどき紙飛行機の金曜日もうちょっとがんばれるよ僕ら


ここまで読んで、あれ、タトゥーを入れようとしてる人、完璧な二人、もうちょっと頑張れる僕ら、もしかして相手は作者と同性の仲間だろうかと思った。
体の変な部位にタトゥーを入れようとした時、「なあそんなとこに入れんなよ」と言えること。
ぎりぎりで墜落しない紙飛行機の週末。
火花の徳永と神谷みたいに、生きている限り人生にバッドエンドはないと言える関係を想像してしまった。
by ayusham | 2017-07-10 20:41 | 歌評